政策による科学のゆがみ・

研究不正に関するシンポジウム

――ライフサイエンス分野の研究不正と放射線被曝論文再訪―― 

2023年4月16日(日)14:00〜17:00

 
本シンポジウムでは、不正などの社会的影響や注目度が高いライフサイエンス系での不正問題をその原因や対策を、政策や企業方針との関わりも踏まえて紹介し、ついで、放射線被を扱う論文の科学的問題がどのように扱われてきたかを検討することで、科学と政策の関係、そしてその枠組みの中で研究コミュニティや学術情報流通メカニズムがどのように機能したか・しなかったか、それに対して科学的活動はどのようにあるべきかを考えます。

 
◯場所:オンライン(zoom)開催 
動画記録

 

◯プログラム:  (資料は各演題の題名からダウンロードできます)


14:00〜14:10 前提を理解するための基礎知識と開催趣旨 濱岡豊(慶應義塾大学商学部・教授) 

14:10〜15:00 生命科学領域の研究不正:社会への影響  田中智之(京都薬科大学・教授)
15:00〜15:50 「宮崎・早野論文」とはなにか そして何が問題であるのか 黒川眞一(高エネルギー研究機構・名誉教授)
15:50〜16:05 質疑1 
16:05〜16:10 休憩 
16:10〜16:40 ディスカッション 

16:40〜17:00 質疑2 
 

◯出席者: 

影浦峡(東京大学大学院教育学研究科 教授) 
押川正毅(東京大学物性研究所 教授) 
濱岡豊(慶應義塾大学商学部 教授) 
田中智之(京都薬科大学 教授) 
谷本 溶(ローマ大学トル・ヴェルガータ数学科 准教授) 
黒川眞一(高エネルギー加速器研究機構 名誉教授) 
牧野淳一郎(神戸大学大学院理学研究科 教授) 


シンポジウムの主催者は、最近、放射線被曝を扱う論文が、不同意データを用いているという倫理的な問題を理由に撤回されながら、論文に含まれる科学的問題の多くが放置されたまま独り歩きし、除染指針や被ばく規制の行政的判断に影響を与えていることに着目し、科学的問題が正されないままにされる機序を明らかにする査読付き論文を発表しました。

なぜ政策等に重大な影響を与えるテーマでこのような問題が起こるのか。そしてそれが知られないままになるのか。ここには、業績をあげる必要性や研究者個人の特性といった視点だけからは十分に捉えることができない、科学と政策や社会との関係の問題が存在します。科学と政策や社会との関係というと、真実を求める科学の中立普遍性とそれを歪める外的要因というかたちで捉えられがちですが、シンポジウム主催者らの論文では、研究コミュニティや学術情報流通メカニズム自体に内在する問題も明らかになっています。